2011年12月02日
まじめに考えようぜ、桜川市の医療崩壊
20世紀末から問題になっている日本の「医師不足」
「医師不足ではなく、偏在しているだけ」と、厚労省や医師会が報告し続ける中、ついに地域医療の崩
壊が表面化し始めました。
慌てて方針転換を図った厚労省、医師会ですが、OECD(※)の平均と比べて、日本の医師数は既に12万人も不足していると言います。
医師の偏在も顕著になっています。
日本で最も対人口医師数の多い地域ですら先進国の平均にも達していない状態だというのに、2003年に制定された「新医師臨床研修制度」によって、僻地に派遣されていた医師がいなくなり、地方の各病院は自力で医者を探す他なくなっていきます。
高額な報酬を払ってなんとか医者を招いてみたものの、過度のオーバーワークを強いられたり、医療技術の向上が望めないなどの理由で、それらが次々に地方を離れていっているのが現状だそうです。
医師不足によって、地域医療はまさに瀕死の状態にあると言っていいでしょう。
ここは「つくばちゃんねる」ですから、県内でも特に医療体制に恵まれたつくば市の皆様が多いと思うので、この辺のことについてぴんと来ないかもしれませんが、私の暮らす桜川市では年々診療体制が縮小されており、一例を挙げると市内には現在産科がありません。
地域で子供が産めない状況に陥っているのです。
この辺を数字にすると更に良くわかります。
まず茨城県ですが、人口10万人に対する医師数は全国平均224.5人に対し、162.1人で46位(全国ワースト2位)です。
地域別で見ますと、つくば342.3、水戸199.4、土浦180.9、日立144.7、古河・坂東119.9、取手・龍ヶ崎157.6、筑西98.9、鹿行92.3、常陸太田・ひたちなか90.9(人)となっております。
先進国でも特に医師の数の足りない日本にあって、茨城はその中でも最低レベルであり、更に私の住む桜川市(筑西圏)はつくばの3割にも満たないという悲惨な状況のわけです。
また、一般病床数に至っては、人口10万対で県平均651.1床に対し、404.7床と、県内最下位となっています。
これを打開するには、医師、医師会、行政、地域住民が一体となって、質の高い医療を継続的に維持できるシステムを作り上げないといけないと言われます。
具体的には、地域中核病院の回りに高度な二次救急受け入れ体制があり、充実した医師の研修体制がある等、若い研修医が集まる体制を整えることだそうです。
詳しく言えばいろいろあるんですが、問題になっている桜川・筑西両市が共同で計画する新中核病院について、「住民・医療本意の病院構築」というタイトルで、筑波大学付属病院の教育・研究担当副病院長松村明氏は次のように指摘しています。
◇医師不足の中で多くの医師を雇用し、維持するためのスケールメリットが必要である。
◇医師不足で両市にそれぞれ充分な医師を派遣することが不可能であり、住民も若干距離的不便は許容しなければならない。
◇救急については両市の中間点で交通の利便性が良い場所をGIS(※)などの客観的データから割り出すべきである(市町村の境界は考慮しない)。
◇若い医師が研修先として選べるようなハード・ソフトを今構築しないと、今後県西地区は永遠に医療 過疎となる可能性が高い。
さて、そこで昨日の新聞各紙に大きく報道された「桜川市議会、新中核病院の計画策定費予算を再否決」の記事です。
(反対派の)議長が議長席を下りて反対討論を行い(賛成派の)副議長を議長席に据えて採決するという異常な事態の中、10-11での賛成少数で否決されたというあれ。
議長の反対討論での理由が、「病院建設は筑西市主導で進められ、建設予定地(筑西市竹島)はかつて水害の被害も受けた」ということだそうですが、正直「水害の…」は難癖に過ぎず、結局建設地(土地)や人事の綱引きがまだ続いているということでしょう。
これで両市が見込んでいた国の「地域医療再生臨時特例交付金」の交付条件である13年度着工は非常に困難な状況になってしまいました。
場所の選定に際しては第三者委員会(委員長:原中勝征日本医師会長)を設けて検討してきたというのに、これでは全く意味がない。
確かに、誰だって近くに高度な医療の受けられる大きな病院があった方が良いに決まっていますが、これで病院建設がフイになれば元も子もありません。
何より桜川市の場合は、県西総合病院をそのまま120床(現在167床)の病院として存続させる方向のようですし(筑西市民病院は無床の診療所に)、これを二次救急病院として整備できる。
ミクロ的、平面的なものの見方から、地域全体の医療体制の充実を考えたマクロな視点で考えて欲しいなと思います。
でないと、松村氏の言う「県西地区は永遠に医療過疎に…」が現実のものとなりそうです。
日本で最も対人口医師数の多い地域ですら先進国の平均にも達していない状態だというのに、2003年に制定された「新医師臨床研修制度」によって、僻地に派遣されていた医師がいなくなり、地方の各病院は自力で医者を探す他なくなっていきます。
高額な報酬を払ってなんとか医者を招いてみたものの、過度のオーバーワークを強いられたり、医療技術の向上が望めないなどの理由で、それらが次々に地方を離れていっているのが現状だそうです。
医師不足によって、地域医療はまさに瀕死の状態にあると言っていいでしょう。
ここは「つくばちゃんねる」ですから、県内でも特に医療体制に恵まれたつくば市の皆様が多いと思うので、この辺のことについてぴんと来ないかもしれませんが、私の暮らす桜川市では年々診療体制が縮小されており、一例を挙げると市内には現在産科がありません。
地域で子供が産めない状況に陥っているのです。
この辺を数字にすると更に良くわかります。
まず茨城県ですが、人口10万人に対する医師数は全国平均224.5人に対し、162.1人で46位(全国ワースト2位)です。
地域別で見ますと、つくば342.3、水戸199.4、土浦180.9、日立144.7、古河・坂東119.9、取手・龍ヶ崎157.6、筑西98.9、鹿行92.3、常陸太田・ひたちなか90.9(人)となっております。
先進国でも特に医師の数の足りない日本にあって、茨城はその中でも最低レベルであり、更に私の住む桜川市(筑西圏)はつくばの3割にも満たないという悲惨な状況のわけです。
また、一般病床数に至っては、人口10万対で県平均651.1床に対し、404.7床と、県内最下位となっています。
これを打開するには、医師、医師会、行政、地域住民が一体となって、質の高い医療を継続的に維持できるシステムを作り上げないといけないと言われます。
具体的には、地域中核病院の回りに高度な二次救急受け入れ体制があり、充実した医師の研修体制がある等、若い研修医が集まる体制を整えることだそうです。
詳しく言えばいろいろあるんですが、問題になっている桜川・筑西両市が共同で計画する新中核病院について、「住民・医療本意の病院構築」というタイトルで、筑波大学付属病院の教育・研究担当副病院長松村明氏は次のように指摘しています。
◇医師不足の中で多くの医師を雇用し、維持するためのスケールメリットが必要である。
◇医師不足で両市にそれぞれ充分な医師を派遣することが不可能であり、住民も若干距離的不便は許容しなければならない。
◇救急については両市の中間点で交通の利便性が良い場所をGIS(※)などの客観的データから割り出すべきである(市町村の境界は考慮しない)。
◇若い医師が研修先として選べるようなハード・ソフトを今構築しないと、今後県西地区は永遠に医療 過疎となる可能性が高い。
さて、そこで昨日の新聞各紙に大きく報道された「桜川市議会、新中核病院の計画策定費予算を再否決」の記事です。
(反対派の)議長が議長席を下りて反対討論を行い(賛成派の)副議長を議長席に据えて採決するという異常な事態の中、10-11での賛成少数で否決されたというあれ。
議長の反対討論での理由が、「病院建設は筑西市主導で進められ、建設予定地(筑西市竹島)はかつて水害の被害も受けた」ということだそうですが、正直「水害の…」は難癖に過ぎず、結局建設地(土地)や人事の綱引きがまだ続いているということでしょう。
これで両市が見込んでいた国の「地域医療再生臨時特例交付金」の交付条件である13年度着工は非常に困難な状況になってしまいました。
場所の選定に際しては第三者委員会(委員長:原中勝征日本医師会長)を設けて検討してきたというのに、これでは全く意味がない。
確かに、誰だって近くに高度な医療の受けられる大きな病院があった方が良いに決まっていますが、これで病院建設がフイになれば元も子もありません。
何より桜川市の場合は、県西総合病院をそのまま120床(現在167床)の病院として存続させる方向のようですし(筑西市民病院は無床の診療所に)、これを二次救急病院として整備できる。
ミクロ的、平面的なものの見方から、地域全体の医療体制の充実を考えたマクロな視点で考えて欲しいなと思います。
でないと、松村氏の言う「県西地区は永遠に医療過疎に…」が現実のものとなりそうです。
※OECD(経済協力開発機構)ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め30ヶ国の先進国が加盟する国際機関。
※GIS(Geographic Information System=地理情報システム)地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持った様々なデータを重ね合わせ、視覚的に表示し、高度な分析や判断を可能にする技術のこと。
Posted by ug at 22:00│Comments(0)│ちいき
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