2012年10月30日

月のうさぎの正体は…

月のうさぎの正体は…

中秋の名月はあいにくの雨でしたが、昨夜の満月は雲もなく本当にきれいでした。
月明かりに誘われて、1週間ぶりのジョギングをしてみましたが、いつもは真っ暗な農道がとても明るくて助かりました。

そんな昨日の新聞やテレビでは、つくば市にある産業技術総合研究所(産総研)が、「月の表面の黒い部分(われわれがうさぎの餅つきなんて呼んでいるところ)は、巨大な隕石の衝突によってできた盆地であることを確認した」、と報じていました。

この研究の結果については、英科学誌『nature geoscience』電子版に発表されたそうです。

ちょっと解説してみます。

◆月の表と裏では表情が異なる

月がいつも同じ面を地球に向けていることはみなさんご存知だと思いますが、実は月の表と裏では表情がだいぶ違うのです。

月のクレーターの少ない黒い部分は「海」、真っ白く見えるクレーターの多い部分は「高地」と呼ばれているんですが、「海」は地球に面した表側に多くて、地球から見えていない裏側にはほとんどありません。

また、裏側は表側より標高が高く地殻も厚くなっていて、この表と裏の違いを「二分性」と言いますが、これは月が出来てすぐの頃に超巨大な天体が衝突し、表側の「高地」部分の多くがはぎ取られてしまったからではないかと考えられています。

◆月にある最大のクレーターは

そんな大きな衝突痕としては、これまで表側の「雨の海」と呼ばれる直径1000kmあまりの盆地や、裏側では直径2500kmの「南極エイトケン盆地」があり、この「南極エイトケン盆地」は、これまで太陽系内で最大級のクレーターとされてきました。

月のうさぎの正体は…
画像提供:独立行政法人産業技術総合研究所

今回話題になったのは、「雨の海」を内包する、表側の大部分を覆う直径3000kmの「プロセラルム盆地」(これが月のうさぎ部分)というもの。

これまでも、巨大な天体との衝突によって形成されたものではないかと言われてきたのですが、科学的な根拠が見つかっていませんでした。

今回解明にあたった産総研は、JAXAの打ち上げた月探査衛星「かぐや(SELENE)」がとらえた、なんと7000地点以上、およそ200億点(!!)に及ぶデータを全量解析。

その結果、月への超巨大衝突を特徴づける鉱物の分布を発見し、「プロセラルム盆地」は38億年以上も前に直径数百kmもある巨大な天体が衝突したことによってできたものだということを、初めて裏付けたというわけです。ぱちぱち。

「かぐや」は2009年6月に役目を終えたはずですから、その後産総研がこの膨大なデータをずっと解析していたんでしょうね。

こうした成果を見ると、数年後に予定されている月面着陸機(SELENE2)の打上が楽しみになってきます。

※今回の天体の衝突は「後期重爆撃期」のおはなしですが、これについて知りたい方は、私の『宇宙のはなし「奇跡の地球2」』をご参考にどうぞ。
また、JAXAの「SELENE計画」については『「雨月」に思う月探査』に書いておりますので、こちらもどうぞ。

ていうか、宙(そら)のはなしばかりでスイマセン^^;

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