引き続きの『ローマ人の物語』ですが、第Ⅱ巻にあたる「ハンニバル戦記」を読み終えました。

文庫本だと上中下3巻からなる、この「ハンニバル戦記」は、紀元前264年~241年の第一次ポエニ戦役から、同219年~201年の第二次ポエニ戦役、同149年~146年の第三次ポエニ戦役までを記したものです。
ポエニ戦役は、大国カルタゴとローマの地中海の覇権を掛けた闘いですが、やはり中心となるのは、タイトルの「ハンニバル戦記」に表されるように、ローマに攻め入ってきた、カルタゴ軍の天才武将ハンニバルとの闘いである第二次ポエニ戦役です。



まさにそれはカルタゴとの戦争というよりも、当時の市民がそう呼んだように「ハンニバル戦争」であり、数では大きく上回りながらも、ハンニバルの天才的な戦術によって、ローマが敗戦を続ける姿と、そこからの挽回劇が描かれています。



クライマックスは、ローマの天才武将スキピオの登場で、現代に至る歴史の中でも、五本の指に入ると言われる天才二人の闘いは、史実とは思えないほどの手に汗握るドラマです。

その後に続く、マケドニアの滅亡劇や第三次ポエニ戦役も収められているのですが、あまりにも強烈なハンニバルVSスキピオの後では、描写もいささか気の抜けたものとなり、消化試合のような感じです。

そんな「ハンニバル戦記」の著者まえがきを書き写すと、

日本の高校生の教科書によれば、私がこの巻すべてを費やして書く内容は次の五行でしかない。

「イタリア半島を統一した後、さらに海外進出をくわだてたローマは、地中海の制海権と商権を握っていたフェニキア人の植民都市カルタゴと死活の闘争を演じた。これをポエニ戦役という。
カルタゴを滅ぼして西地中海の覇権を握ったローマは、東方ではマケドニアやギリシャ諸都市を次々に征服し、さらにシリア王国を破って小アジアを支配下に収めた。こうして地中海はローマの内海となった」

これが、高校生ならば知らないと落第する、結果としての歴史である。これ以外の諸々は、プロセスであるがゆえに愉しみともなり考える材料も与えてくれる。オトナのための歴史である。


まさに、『ローマ人の物語』にハマったのは、ここですね。

ローマの興亡を描くのに、文庫本にして43冊という大量のテキストが必要なのも、この「ハンニバル戦記」を読んだだけで理解できるし、歴史の“プロセス”にこそ宿る愉しみを存分に味わうことができます。

学校の歴史を習う前に、もしこの本を読んでいたら、こんな私でも歴史好きになっていたかもわかりません。

いや、ガキにはわからなかったかなぁ?とも思いますけど、いずれにしろ2200年前の史実は「ONE PIECE」も真っ青のおもしろさです。

さて、そんな“オトナの歴史”の愉しさにハマった私は、既に単行本の第Ⅲ巻にあたる『勝者の混迷』も発注済です。

が、あまりにも『ハンニバル戦記』がヘビーだったせいか、“お腹いっぱい”で、もう少し余韻に浸りたい気分。

次に進む前に、眉間に皺の寄るような新書でもはさみますか。

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