『ローマ人の物語「勝者の混迷」』

前回の『世紀の名将対決!!....ハンニバルVSスキピオ』で、「お腹いっぱいなので次は新書でも読もう」などと書きながら、結局「デザートは別腹」とばかりに、また『ローマ人の物語』を読んでしまいました。

今回読んだ『勝者の混迷(上)(下)』は、単行本では第Ⅲ巻にあたり、ハンニバルを倒してカルタゴを滅亡させ、地中海の覇者となったローマが、内乱に陥る紀元前133年~同63年までの約1世紀を描いています。
強大国であったカルタゴを滅ぼし、地中海の覇者と呼ばれるようになったローマは、多くの同盟国や属州を抱えるようになりました。

しかし、大国になったが故に、これまでの統治システムでは秩序の維持が難しくなり、「元老院体制」と言って良い共和政ローマを維持しようとする者と、改革を断行しようとする者の対立=ローマ建国以来のローマ人同士の内紛が起こります。

これらの問題に対峙するグラックス兄弟、マリウスとスッラ、ポンペイウスと、その時代を代表する者達の主導する政治によってローマが紆余曲折する姿は、「ハンニバルVSスキピオ」のような“ONE PIECEも真っ青のおもしろさ”とはいきません。

混乱に乗じて攻め入ろうとする国との闘いも描かれてはいますが、この頃のローマは(スキピオ以来受け継がれてきた戦術のおかげで)強すぎて、戦闘の描写もほとんど描かれていません。

一例を挙げれば、ポンペイウス率いるローマ軍VSアルメニア軍の会戦は、ローマ軍1万5千に対して、アルメニア軍12万5千と、数で言えば1/10程度の兵しか持たないローマ軍が圧勝。

なんと、アルメニア軍の戦死者は10万人以上というのに、ローマ軍は負傷者100人足らずで、戦死者はたったの5人!!

アレクサンダー大王超えの戦果で、いくらなんでもそこまで…と思えるほどなのです。

そんなわけで、ワクワクドキドキのお話しではなかったわけですが、現代の政治にも通ずる部分が多々あって、これはこれで読みごたえはあります。

しかし....

続く第9巻(単行本では第Ⅳ巻)からは、いよいよシリーズの頂点とも言える、かの有名なガイウス・ユリウス・カエサル(英語読みで「ジュリアス・シーザー」)の登場です!!

なんとこの『ユリウス・カエサル』は、「ルビコン以前」で(上)(中)(下)の3巻、「ルビコン以後」で同3巻の全6巻という、まさにシリーズの中心にふさわしい力の入りよう。

なにせ、これまでは「世紀」単位の話だったものが、紀元前100年から同30年までの70年間で6巻ですからねぇ。

古代から現代に至るまでの、歴史家をはじめとする数多くの人々を魅了し続けた英雄カエサルの物語を、じっくりと堪能したいと思います。

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