昨年7月初版の新書ですが、出版後に著者の曽野綾子氏が『金スマ』に出演されて話題になったようです。

そのせいかわかりませんが80万部を超えるベストセラーとなり、本日訪れたTSUTAYAでもいまだに売上ランキングトップ10に入っていました。

教養新書コーナーでは第1位

著者の曽野綾子氏ですが、私はたぶんテレビで顔を拝見した程度で、どのような方かは存じ上げませんでした。

私が購入した動機は、↓のように、近所のワンダーグーの狭い新書コーナーの棚に、これでもかと並べられていたからです。


帯の「35万部突破!」「60万部突破!」「70万部突破!」「80万部突破!」が笑えます

「35万部突破」「60万部突破」「70万部突破」「80万部突破」と帯の違った同書が、各10冊近く並んでおり、少なくとも私の近所のワンダーグーでは、まったく売れていないらしきことはわかりました^^;

しかし、古い帯の付いたものを大量に残しながら、次々と増刷されたものを仕入れると言うことは、本部通達なのかわかりませんが、グループ全体としては「売れている」ということなのでしょう。

せっかくなので「35万部突破」時点のものを購入してきましたが、『金スマ』も見ていなかった私は、特別期待して買ったものではありませんでした。

著者についてよく知らないとか、テレビも見ていなかったことは、この手の本を読むには良かったと思います。

「素晴らしい人だ」だとか、「○○氏が大絶賛」のような先入観があると、読む前からある種のバイアスが掛かってしまうので、客観的に内容を把握することができなくなるからです。

読み終えてから、曽野氏が作家でありながら、日本財団の会長を10年間務めた方だということや、本書を読む中で長年にわたってNGO活動をされてきた方だということを知りました。

さて、そんな『人間にとって成熟とは何か』の読後感ですが…

正直申し上げて、ご自身のエピソードや、時に批評を交えての「成熟論」は、なんとも散漫な印象で、結果として何をもってして「成熟」なのか、ちっとも伝わってきませんでした。

成熟はしていないかもしれませんが、私も一応「大人」ですので、すべてに納得がいかなくとも、ためになる部分が一つでもあれば良いと思って読んでいます。

しかし、「これ」と思うところがひとつも印象に残っていないのです。

各論、言っていることはもっともだと思うのですが、総じて「老人の苦言」のように感じてしまい、氏が敬虔なクリスチャンであることもあり、やたら出てくる「神」にも抵抗を感じました。

「成熟とは何か」ということはさておき、読み物としての面白さという点でも今ひとつ。

遅読の私が更に遅読になってしまったのは、面白味に欠けるので集中して読めなかったということもあります。

そんな本書の最終章を締めくくる言葉は

そうだ。大切なことは、お茶をいれて、すべての些細な対立は、強靱な大人の心で流してしまえるかどうかなのだ。

ですが、著書内では、高額な医療費を健康保険の恩恵に与る野田聖子国会議員に「感謝の心がない」と批判したり、民主党の「脱ダム宣言」を酷評したり、結構些細なことに腹を立てている様子。

読み終えた時に私が思ったのは「成熟するとは傲慢になること?」でした。

言っていることは間違っていないのに、「傲慢」と感じるのはなぜだろう?と考えてみたところ、それは「ものの言い方」ではないかと思いました。

日本財団やNGOのトップとして、“良いことをしてきた”という自負が強すぎるせいでしょうか、ものの言い方が高圧的なのです。

「成熟」した方、ましてや80を超えるお歳になられた方なら、もう少し柔らかい表現で包容力を示して欲しかったなと思います。

私のような人間にも「ああ、確かにそうだなぁ」と思わせるような文章を書いてこそ、作家としての「成熟」なのではないかと感じた次第です。


というわけで、“成熟していない人間”の私は、今回も酷評してしまったわけですが、私が皮肉れているのか気になって、amazonのレビューを見てみましたら、やはり同様の感想を持つ方が多数いたので安心しました^^;

ちなみに111人もの方がレビューを書いていましたが、全体としては星5つ中3.4点の評価。

評価の高い星5つの人が35人、星4つが24人。

どちらとも言えない星3つが21人。

評価の低い星1つが21人、星2つが10人となっていました。

「TSUTAYA教養新書ランキング1位」が、ちょっと信じられません^^;

『人間にとって成熟とは何か』

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