『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

小学館『ビッグコミックスピリッツ』に連載中の漫画『美味しんぼ』5月12・19日合併号(4/28日発売)の波紋が収まりません。

発端となったのは、主人公の新聞記者らが、東京電力福島第1原発の取材後に、鼻血を出したり疲労感に見舞われたりする描写の後に、井戸川克隆・前福島県双葉町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かす衝撃のストーリー。
『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

これに対し、福島県双葉町では5/7に公式HPにて

双葉町は、福島第一原子力発電所の所在町であり、事故直後から全町避難を強いられておりますが、現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません。

という内容の「小学館への抗議文」を掲載しました。

『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

また、福島県も同日、小学館に対し『「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号における 「美味しんぼ」について』という申し入れを行っています。

波紋は国会にも広がり、石原伸晃環境大臣が閣議後の記者会見で、「住民の被ばくと鼻血の因果関係はないという評価が既に出ている」と話し、「描写が何を意図し、何を訴えようとしているのか、私には全く理解できない」と批判しています。

こうした反応(抗議)に対し、『美味しんぼ』では、本日発売の最新号で、井戸川前町長が「鼻血や疲労感で苦しむ人が大勢いるのは被ばくしたから」と発言したり、除染作業の経験のある福島大の准教授が「除染して人が住めるようにするなんてできない」と語るシーンを掲載し、火に油を注ぐ形となりました。

これを受けてついに福島県も、小学館に対する抗議文とともに、県のHPにおいて「週刊ビッグコミックスピリッツ「美味しんぼ」に関する本県の対応について」という見解を公表するという事態に発展しています。

『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

その後も波紋は収まらず、消費者庁や文科相、更には被災者の相談を受ける医師らなどからも、「福島県民に迷惑」だとして次々に批判の声が上がっています。

問題は福島だけに収まりません。

最新号(5/12発売)では、東日本大震災のがれき処理を受け入れた大阪で住民に健康被害が出たとの記述もあり、大阪府と大阪市が本日、「事実と異なり、極めて不適切」として、発行元の小学館に抗議しています。

『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

こうして様々なところから抗議を受けることとなった小学館…ではなく原作者の雁屋哲氏はというと、『雁屋哲の今日もまた』という氏のブログの『反論は、最後の回まで、お待ちください』という記事の中で

私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。

と反論しながら、本格的な反論は次号の発売以降にすると書いています。

『美味しんぼ』の波紋が収まらない…あなたは同調?異論?

また、次号では

その23(※5/12発売号)、特にその24(※5/19発売号)ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない

とまで書いているので、こうした抗議に対しては徹底的に反論していく決意の様子。

果たして、19日発売の『ビッグコミックスピリッツ』では、寄せられた意見をまとめた特集記事が掲載される予定になっているそうなので、来週はもっと大騒ぎになっているかもしれません。

さて、みなさんはこの騒ぎをどうご覧になるでしょう?

実はこの雁屋哲さん、漫画のテーマである「食」の領域を超えて、これまでも政治的な問題に対して過激な発言を繰り返している方なんですよね。

特にこの原発事故に対しては、事故直後にブログで

「今政府は、半径10キロ以内の住民の避難を勧告しているが、10キロどころで収まる訳がない。福島原発の数10キロ四方の土地はこれから、数千年、数万年人が近寄れない土地になるだろう。周辺の魚も全部食べられなくなる」

だったり

「原発事故は人災である。過去の自民党政権の遺産である。自民党の現議員たち・前議員たち・元議員たち、総出で福島冷却水問題に当たれ」
「今の民主党政府の取り組み方を批判する資格はお前たちにはない。分かっているのか、この、腐れ自民党どもが! 貴様等の悪政が今の悲劇を招いているんだ」

などと発言しているくらいですから、相当原発事故に対してはお怒りのようで、それが今回のストーリーにつながっているのでしょう。

私は、漫画という媒体を考えると、登場人物などリアリティのある話ではありますが、本日のワイドショーで松本人志氏がコメントしていたように、「政治なら分かるけど、作品は違う。作者のもので、みんなでつくるものではない。外部の人間が『ストーリーを変えろ』というのはおかしい」という言い分もわかる気がします。

ナイーブな問題だし、当事者にとっては迷惑な話かもしれませんけど、逆にそこまで過敏に反応して事を大きくすることもないんじゃないかな?と。

「ひでーストーリーだな」と思う人は、鼻で嗤えばいいし、同調する人は事の真偽を自分できちんと調べて、それなりの行動をとれば良いと思うんです。

まぁ、ちょっと話題の乏しいこのところ、ワイドショーをはじめとするメディアの格好の材料になったということなんじゃないでしょぅか。

小学館にとっては、話題になったおかげで、発行部数が伸びて嬉しい話だったりするかもしれないし^^;

※追記

文中の「被災者の相談を受ける医師」の解説が朝日新聞の医療サイト「apital」に掲載されています。関心のある方はどうぞ。

『鼻血漫画をバネにして進めるべきこと』


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Posted by ug at 23:55│Comments(0)ざっき
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