都議会での「セクハラやじ騒動」から、メディアでは議会での野次(やじ)の是非について、かまびすしく論じられていますが、それらを見ると、総じて「審議の邪魔」という否定的な意見が多いものの、「議会の活性化になるので必要」と肯定する人も結構います。

みなさんは、この「野次」についてどうお考えでしょうか?
果たして野次が本当に審議の邪魔になるのか、はたまた議会を活性化させるのか…

そもそも議会の仕組みを知らなければ、それは単なる「勝手な思い込み」に過ぎないと思うのです。

そこで本日は、そもそも議会ってどんなことをしてるいのか?…を探って野次の本質に迫ってみたいと思います。



まずは、今回の「セクハラやじ」の舞台となった「本会議」です。

国会の議院内閣制(議員の中から行政の責任者を選ぶ)と、都道府県議会の二元代表制(議員も行政のトップも選挙で選ばれる)では、ややその位置づけは変わりますが、「本会議」というのは、全議員が出席して行われる、最終的な採決の場です。

都道府県議会の場合、まずこの本会議で「提案」がなされ、その後委員会で「審議」をした後、また本会議で「議決」という流れですが、国会における本会議はあくまで「議決」のための場となっています。

県議会では予算や決算の際、国会では重要な法案や予算の議決の際には「賛成討論」や「反対討論」が行われることもありますが、大抵は議長が表決する問題を宣告した後、「満場一致」だったり、「起立」だったり、「記名投票」だったり、「押しボタン」などでちゃっちゃと決が採られていきます。

なんでそんなに簡単に決まっちゃうの?

もっと議論しないの?

と思う方もいるかもしれませんが、「本会議」で行われているのは、議論ではなく、シナリオ通りに進む「お芝居」のようなものなのです。

質問者、答弁者ともに「台本」を読むだけで、結果も既に決まっているのですが、議会(議院)の意思として最終決定するために、議員全員の出席の下(国会の定足数は総議員の3分の1以上、県議会は半数以上)で開かれるというわけです。

まぁ、言ってみれば「報告会」みたいなものでしょうか。

では、どこで議論をしているのでしょうか。

それが「委員会」です。



国会中継などでご覧になっていると思いますが、答弁者(主に大臣)と、質問者が一問一答形式でやりあっているあれです。

テレビなどで見るのは、重要な法案などを審議する「予算委員会」(決して「予算」だけを審議しているわけではありません)ですが、専門分野ごとに「委員会」がいくつもあり、議員はいずれかの委員会に所属しています。

ここで議員は自分の専門とする分野の問題について、国会なら大臣や副大臣など、県議会なら行政の部課長クラスの職員と討議を行うわけです。

しかし、実はこれも何を質問するかはある程度決まっています

質問に立つことが決まっている議員は「通告」と言って、何を質問するか中身を事前に知らせることになっているからです。

そのため、答弁に立つ側…国会ならば各省庁の職員、自治体の場合は担当部署の行政職員…は、どういう質問をするのか事前に質問者を訪ねて聞き取りをする「質問取り」を行うのです。

もちろん答弁をするのは、先の方たちですが、この人たちがきちんと回答できるように、役所の担当職員が答弁書を作成するためです。

質問者は、出来るだけ答弁者から「生の答弁」を求めるために、意地の悪い人はギリギリまで通告を遅らせたり、また中身もあまりハッキリとさせないようなものにする場合もあります。

「質問取り」でおおよその質問がわかると、職員は時に徹夜までして、膨大な想定問答集を作成します。

そして、これを答弁者にレクチャーをして、委員会に備えるわけです。

よって、委員会でも基本的には、事前に決められた質問と答弁が行われているということになります。

ここでみなさんお気づきかと思いますが、本会議にしろ委員会にしろ、われわれが普段している会議のように、出席者全員で議論を戦わせる場は議会にはありません

あくまで質問者と答弁者が1対1の応答を繰り返し、そこに第三者が割って入るということもないのです。

よって、質問者と答弁者以外は野次を飛ばすしか発言する機会はないということになります。



さて、では問題の野次ですが、正式には「不規則発言」といわれます。

この「不規則発言」に対しては、国であれ地方自治体であれ明確なルールは決まっていませんし、議事録にも載りません

というか、世界中の議会制民主主義国家には野次が無い議会はないと言って良いくらいです(アメリカにはルールがあり滅多にないそう)。

他の国と比較しても、日本の議会の野次は、比較的おとなしい部類と言われています。

で、先述の通り、もし野次がなければ、本会議にしろ委員会にしろ、質問者と答弁者の応答が繰り返されるだけの会議が粛々と行われることになるわけです。

これを良しとするかどうかで、冒頭の「野次は審議の邪魔」と考えるか、「議会の活性化になる」と考えるかが分かれるのではないかと思います。

後者の見方からすれば、昔から「野次は議会の花」などと言われるように、野次のない議会は「花のない」、言い換えると「盛り上がらない」会議の場になってしまうということでしょう。

ひとつ付け加えるとすれば、およそ県議会レベルの野次は、議員の数も少ないので、さほど厳しいものはありませんし、国会でも少人数の委員会では、ほとんど野次が飛ぶことはありません。
(私が以前傍聴したことのある県議会では、野次は一切ありませんでした)

多くの議員が参加する(注目される)委員会や本会議になればなるほど、野次も多くなるというのが実態で、よってわれわれ一般人が目や耳にする議会中継などでは、特に野次が多いというわけです。

裏を返せば、野次の多く飛び交う会議ほど、重要な問題について討論しているとも考えられます。



同じ会派の質問者を後押しするための合いの手のような野次や、期待外れの答弁に対して抗議をする野次、時に場を和ませるような野次など、野次にもいろいろ種類がありますが、確かに「絶妙な野次」というのも存在すると思います。

個人的には、われわれの声を代弁するような「絶妙な野次」なら許せますし、逆に品のない暴力的な言葉を使った野次には不快感を覚えます。

果たして、今回の都議会の野次に関して言えば、問われるべきはその中身であって、野次自体の是非ではないように思います。

質問を聞いても、特に野次を飛ばすようなものでもなかったですし、「非常に程度が低かった」というのが第一ですが、そんな質の低い野次を飛ばした議員をなかなか特定できなかったところにメディアが飛びついたのではないでしょうか。

特に都議会は定数が127人と、地方の県議会よりも議員数が断然多いので、議員の側にも特定されないだろうという甘さがあったのでしょう。

今回の件で私が思うのは、野次の是非よりも、野次という「不規則発言」にも議員は責任を持つべきだということです。

今回のような程度の低い野次を飛ばす議員は糾弾されて然るべきで、そういうことが度重なるような議員には選挙で審判が下されるようになれば良いのではないでしょうか。

と、野次肯定派のような書き方になってしまいましたが、確かにウザイと感じるのもよくわかります。

最近の国会中継などを見ていると、存在感をアピールするための、個人的なパフォーマンスのような野次が多いように感じるし…

「審議の邪魔」と言われないように、「上手い!!」とわれわれ一般人が感心するような、質の高い野次を飛ばせるよう議員も腕を磨いてもらいたいものです。


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