2012年10月16日

蒙求 素読 朗誦

蒙求 素読 朗誦

本日も文系なり。

「勧学院の雀は蒙求(もうぎゅう)をさえずる」

勧学院とは、平安時代の大学寮のようなもののこと。
蒙求とは中国の児童用教科書のことで、書名は周易の「童蒙われに求む」に基づきます。
※「童蒙」=ものを知らない子どものこと
訳せば、勧学院の雀は、生徒の暗唱を真似てさえずったということです。

以前も書きましたが、昔の日本の教育は素読(そどく)、いわゆる暗唱でした。

そもそも、言葉が先にあって、文字はそれを記録するためにあとからできたものです。
日本に限らず、ギリシャやローマもそうでした。

ところが、最近は文字から勉強するようになって、こうした暗唱文化は姿を消してしまいました。

素読は、意味などわからなくても暗唱できるようになるまで繰り返し声に出して読むことです。

日本人初のノーベル賞受賞者で理論物理学者の故湯川秀樹博士も、5、6歳の頃からお祖父さんに漢籍(四書)の素読を習ったといいます。

「素領域と李白」と題した講演録を見ると、私も紹介した『春夜宴桃李園序』が博士の理論の参考にもなっています。

先日、金スマで3000人待ちの人気塾「花まる学習会」が紹介されていましたが、この中でも低学年の子が四字熟語を元気に朗誦している姿が映っていました。

「意味はわからなくていいんです」と塾の設立者である高濱正伸先生が言っていましたが、まさに寺子屋時代の素読を見ているようでした。

さて、私の朗誦もなんとか続いています。
杜甫の「春暁」や、李白の「春夜宴桃李園序」といった漢詩に始まり、その後は「祇園精舎の鐘の声…」の平家物語や、「春はあけぼの…」の枕草子などメジャーどころの長文も2、3覚えまして、短文含めると十数種は暗唱できるようになりました。

現在も好みの詩や文章を見つけては、少しずつレパートリーを増やしているところです。

いつ、どこでやっているかというと、朝晩の通勤時間をこれに当てています。
時に声を張って朗誦するので、車の中は最高の“寺子屋”なのです。
(居眠り運転の防止にもなります^^;)

朝、ひとつの詩や文章を覚えて、帰りの車中で復習する、というのがパターン。
とはいえ、そこが若い頃と違い、気を抜くとすぐ忘れてしまうので、合間ヽに、これまで覚えたものも復唱しています。

何度も繰り返しているうちに、考えなくても口から出てくるようになるのもまた嬉しからずやです。

当面の目標として、100くらいは諳んじられるまで頑張りたいなと思っています。

って、ホントに出来んのか?


※トップの『震災』は、最近暗唱できるようになった、永井荷風(1879~1959)の戦後の詩集『偏奇館吟草』に収められた一篇。
荷風は吉原の遊女の投込み寺、三輪(現荒川区南千住二丁目)の浄閑寺を好んで訪れ、そこに葬られたいと記していた。
1963年、計42人の発起人によって、浄閑寺に遊女らの『新吉原総霊塔』と向かい合わせに、『震災』の詩碑と筆塚が建立された。

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