『ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず』

『ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず』の上下巻を読み終えました。

このところ読書の時間が取れなかった私としては、なかなかのペースだったと思います。

要は、それだけ面白かったということです。
先日も書きましたが、文庫版の『ローマ人の物語』は全43巻でして、まだまだ端緒を開いたばかりの2/43しか読み終えておりません。
(全15巻の単行本の第1巻にあたる)

しかし、ここにはタイトルの通り、今より約2800年前の紀元前735年、3千人ほどのラテン人を引き連れた羊飼いのロムルスがローマを建国してから、数々の存亡の危機を乗り越えてイタリア半島を統一するまでの500年に及ぶ物語が詰まっています。

物語というように、単なる歴史書のような史実の列記ではなく、それぞれの国の民族性やそれに基づく政治体制や軍制はもちろん、当時の人々の考え、心情まで伝わってくるところが、本書の魅力だと思います。

しかも、それらが決して著者の想像の世界の話ではなく、研究書歴史書の類の二次資料は当然のこと、同時代または近い時代に書かれた第一次資料と言われる史書(原資料)まで調べ上げた上での「ローマ観」であるところの凄さです。

また、著者は謙遜して言いますが、原資料としての価値が、ローマ人の書いたローマ史よりも、ギリシャ人の書いたものの方が格段に上であるように、異国人である日本人の視座で書かれているからこそ、こうした書き方ができたのかもしれません。

決してローマやイタリアに…というか歴史全般に興味のあったわけではない私が、こうも惹きつけられてしまうのですから、興味のある方には堪らないんじゃないでしょうか。

それにしても、紀元前753年から同270年までといえば、日本は縄文時代であり、土器の類は出てくるにしても、こうした史書など皆無の時代ですからねぇ。

人々の精神性のような部分は、今でも通じるどころか、2千年を経た今よりも進んでいたと思うようなところも多々あり、政治体制しかり、歴史に疎い私には、この時代にこんなにも進んだ文明があったことに驚きです。

残念ながら今回は物語に集中しすぎて、「大事なところには付箋」をするのを忘れてしまい、要約することは出来ませんでしたが(する気もなかったのですが^^;)、たとえ浅田次郎の作品といえども、作られた物語より絶対面白い!!

完読までは時間が掛かると思いますが、私もこれからは「寝る前本」として読み続けてみようと思っています。

『ローマ人の物語 新潮文庫版』

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この記事へのコメント
綾小路きみまろさんの老婆は一日にして成らずを突然思い出しました。
いろいろな高齢者がいますが、柴田トヨさんの様な表情、お気持ちで大往生出来たら幸せですね。美意延年。
Posted by stk at 2013年01月22日 07:56
>>stkさん

綾小路きみまろ…笑いました。

柴田トヨさん、残念でしたねぇ。
私も101歳まで生きれば、ああいう風に達観できるようになるのでしょうか。
年を取るほど優しくなっていく…そんな人間にはなりたいと思います。
Posted by ugug at 2013年01月22日 21:18
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