『宇宙のダークエネルギー』

星のきれいなこの季節。

『ローマ人の物語』も良いけれど、ミクロコスモスな世界で行き詰まりそうな日々を送る私としては、時にはマクロコスモスな世界で現実逃避したい…

というわけで、『ローマ人の物語』を一時中断し、読み始めたのが『宇宙のエネルギー~「未知なる力」の謎を解く』(土居守、松原隆彦共著)という、光文社新書の一冊。
「ダークエネルギー」については、拙ブログ2012/10/13『いざJAXAへ!!…の盛り上げ本』で簡単に触れましたが、もう一度おさらいすると…

われわれはこれまで「万物は原子でできている」と思ってきましたが、実は原子は宇宙全体の4.4%にしか過ぎず、23%は暗黒物質(ダークマター)、残りの73%が暗黒エネルギー(ダークエネルギー)で出来ていることが、観測の結果わかったのです。

簡単に言うと、われわれが解明できているのは、宇宙全体のたったの4%で、残りの96%は何もわかっていないということ。

『宇宙のダークエネルギー』

ダークマターの存在の兆候は1930年代から示されていました。

そもそも、これまでに観察できた物質だけでは、重力の釣り合いや宇宙の膨張について説明が出来ないのです。

そんなダークマターやダークエネルギーの存在が明らかになったのは、近年の大型望遠鏡をはじめとする観測技術の飛躍的な進歩によるものでした。

ダークマター、ダークエネルギー共に我々には見えませんが、ダークマターは通常の物質同様、重さ(重力)を持っていて、まわりのものを引っ張って(引力)いるのに対し、ダークエネルギーはまったく逆で、ある場所に局在することがなく、宇宙全体に一様に存在していると言います。

ですから、ダークエネルギーは、一種の反重力を持った、私たちが知っている通常の物質とはまったく異なるものなのだそうです。

盛り上げ本で紹介した『宇宙は本当にひとつなのか』の著者である村山斉氏は、ダークマターは10年以内に正体が明らかになるのではないかと言っていますが、ダークエネルギーに関してはまったく糸口が掴めていないと言います。

本書では、そんなダークエネルギーを観測するための様々な測定方法と、そのための望遠鏡をはじめとする観測装置について解説しています。

とまぁ、簡単に紹介してみたわけですが、正直申し上げて、この本は私には難しすぎました^^;

『眠れなくなる宇宙のはなし』から宇宙に興味を持ち、何冊かこの手の本を読ませていただきましたが、これまでの本がいかに素人向けに平易に書いてくれていたかがよ~くわかりました。

物理学の基礎知識がない私には、この本は新書じゃなくて「学術書」です。

超新星爆発や宇宙背景放射ゆらぎ、銀河分布、銀河団の数、重力レンズ…どれも、言葉は知っていますが、それらからダークエネルギーを測定する方法となると、これがちんぷんかんぷん。

特に、土居氏の担当である観測技術関係は、素人にはほとんど理解できないんじゃないでしょうか?

国際協力による観測プロジェクトにも関わるような専門家だからなのでしょうが、望遠鏡の記述あたりは「ヲタク?」と思うようなマニアックぶりで、まったくついて行けません。

というわけで、天文学の知識が豊富な方には面白いのかもしれませんが、『眠れなくなる宇宙のはなし』に胸ときめかせる私のような素人さんには、村山斉氏の『宇宙は本当にひとつなのか』辺りがお奨めです。

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