2013年03月14日
通がうなる山桜をご紹介
ひとつだけ…のはずでしたが、調子に乗って本日も桜川の素晴らしいサクラを紹介してしまおうと思います。
昨年、岩手県北上市で行われた「北上展勝地開園90周年記念フォーラム」に参加させていただいた際、特別講演の講師だった京都の“桜守”佐野藤右衛門氏※にお会いしたことは、1/28のブログで書きました。
第16代佐野藤右衛門氏(岩手・北上展勝地にて) ちなみに後ろは吉野山保勝会福井理事長
講演は、佐野翁の好みの桜を紹介するような内容でしたが、最後に「旗弁(はたべん)の桜を見つけましたら、すぐ私に知らせて下さい」と話していたのが強く印象に残っています。
代々京都仁和寺の桜守をしてこられた佐野藤右衛門は、当代で第16代になりますが、先代が作った園芸品種の「佐野桜」は全国的に有名です。
この「佐野桜」は八重の山桜ですが、「植藤造園」の園内の桜を見ても、八重志向は当代も受け継いでいるように思いました。
前置きが長くなりましたが、本日ご紹介するのは、佐野翁が話していた「旗弁」を持つ山桜です。
天然記念物「初重桜」は特に顕著ですが、実は磯部桜川公園周辺には、他にもこの「旗弁」を持つ山桜が数多く見受けられるのです。
国指定天然記念物「初重桜」
佐野藤右衛門氏に連絡したら、すぐにでも飛んできそうですが、我らにとっても旗弁を持つ山桜を見つけるのは結構嬉しいものです。
「旗弁」とは、雄しべが変化して花弁化したもので、完全に花弁になっていないものを呼びます。
矢印の部分が「旗弁」
主に蝶形花と呼ばれるマメ科の植物に多く見られるものですが、サクラには本来あるものではなく、変異の過程で生じる珍しい現象なのです。
いわゆるサクラの重弁化と呼ばれる現象ですが、これの進んだものが八重桜や菊桜というわけです。
雄しべが花弁化したことがよくわかる初期の旗弁
「初重桜」でもすべての花に旗弁があるわけではありません
こちらの山桜は旗弁から更に進んで6弁化しています
私は一重(5弁)の山桜の凛々しさが大好きなんですが、旗弁のあるサクラにはまた違った華やかさがあって、かといって八重ほどのくどさがないので、こちらもまた大好きなサクラです。
さて、ほとんどの日本人は、桜=ソメイヨシノのイメージが強いと思いますが、ソメイヨシノの群桜に目を奪われて、花の一輪一輪をじっくり見ている方は少ないんじゃないでしょうか。
そもそもソメイヨシノはクローンなので、九州のソメイヨシノも青森のソメイヨシノも花はまったく一緒、もちろん変異もないので、これも仕方ないのかも知れません。
園芸品種でない、自然の桜をよく見ていただくと、人間と同じで、1本1本に個性があって、全く同じものがないことがわかります。
もし、皆さんの近くに山桜がありましたら、今年はその花や芽(葉の若芽)を観察してみてください。
もしかすると、とんでもなく珍しい桜かもしれませんよ。
とまぁ、本日は通がうなる「旗弁」のある桜について書いてみましたが、実は佐野藤右衛門翁はもうひとつ「○○の山桜がありましたら、すぐ連絡下さい」と言っておりました。
なんと、これも桜川には数多くあるんですねぇ。
そんな通がうなる「○○の山桜」については、また次回。
※佐野藤右衛門
代々、仁和寺御室御所の造園を担ってきた、京都・嵯峨野にある「植藤造園」の当主が襲名し、現在第16代。
「桜守」としての活動を始めたのは、14代佐野藤右衛門から。
有名なところでは、パリ・ユネスコ本部の日本庭園をイサム・ノグチに協力して造った。
また、「祇園の夜桜」として親しまれる、京都円山公園の枝垂れ桜が枯死した際、先代(15代)の育ててきた、後継樹の植栽を請け負った。
著書、マスコミ出演等多数。
『植藤造園』
Posted by ug at 09:00│Comments(6)│サクラぐるひ
この記事へのコメント
連日の桜情報に見入ってしまいました。
とても参考になります。
今年は、ちょっと遠いのですが桜川の桜を攻めてみようかしらと・・・
貴重な情報、ありがとうございました。
とても参考になります。
今年は、ちょっと遠いのですが桜川の桜を攻めてみようかしらと・・・
貴重な情報、ありがとうございました。
Posted by 夏雪草 at 2013年03月14日 12:42
ほんとうに桜っていいですね…大好きです。
早く見に行きたいと思います♪
楽しみです・・・(*^^)v
早く見に行きたいと思います♪
楽しみです・・・(*^^)v
Posted by fairlady at 2013年03月14日 17:30
こういった内容のブログは、サクラサクサトプロジェクトのオフィシャルブログにも飛ばしたほうが、効果あると思いますけど・・・
Posted by M.I at 2013年03月14日 19:19
>>夏雪草さん
はじめまして。
お出でになりましたら、是非櫻川磯部稲村神社にお越しください。
よろしければ、宮司または、私たちsspの仲間がご案内させていただきます。
桜川のサクラは、ソメイヨシノのような圧倒的な風景と違って、説明が必要なサクラなのです。
ありがとうございました。
はじめまして。
お出でになりましたら、是非櫻川磯部稲村神社にお越しください。
よろしければ、宮司または、私たちsspの仲間がご案内させていただきます。
桜川のサクラは、ソメイヨシノのような圧倒的な風景と違って、説明が必要なサクラなのです。
ありがとうございました。
Posted by ug at 2013年03月14日 20:09
>>fairladyさん
こんにちは。
山桜の魅力もわかっていただけると嬉しいです。
案内を聞いていただければ、ちょっとだけサクラ通になれます。
お待ちしております♪
こんにちは。
山桜の魅力もわかっていただけると嬉しいです。
案内を聞いていただければ、ちょっとだけサクラ通になれます。
お待ちしております♪
Posted by ug at 2013年03月14日 20:11
>>M.Iさん
ほんと、言われるとおりです^^;
実はあちらでは書き尽くした感があることと、書き始めると、私の責任感から、また大変なことになってしまいそうで…
誠に申し訳ありませんが、こちらで気の向くままお気楽更新をさせていただいておりますm(_ _)m
近々、また公式HPを立ち上げる予定ですので、そちらで頑張ります!!
ありがとうございました。
ほんと、言われるとおりです^^;
実はあちらでは書き尽くした感があることと、書き始めると、私の責任感から、また大変なことになってしまいそうで…
誠に申し訳ありませんが、こちらで気の向くままお気楽更新をさせていただいておりますm(_ _)m
近々、また公式HPを立ち上げる予定ですので、そちらで頑張ります!!
ありがとうございました。
Posted by ug at 2013年03月14日 20:15
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