植えりゃいいってもんじゃない

地方紙にはよく「○○が桜を○本植樹」という記事が載りますけど、「パフォーマンスじゃねーの!?」って匂いのプンプンするものも結構見受けられます。

植えればあとは勝手に育って、いずれ花見の名所に…みたいな感覚なんでしょうけど、自分の家の草木と同じで、本来はその後の手入れまで考えてこその植樹だと思うんですよ。
かくいう磯部桜川公園にも、一時社会奉仕団体(?)が相当な数ソメイヨシノを植えたみたいですけど、まるで頓珍漢な植栽のおかげで景勝地を見事にぶち壊してくれています。

既にん十年が経った現在、大きく育ったソメイヨシノを伐るわけにもいかず、とはいえ近くのヤマザクラが駆逐されつつあり…

と、嘆いてばかりいても始まらないので、今日は植樹に関して別の角度から見てみようと思います。

実は桜というのは、連作の効かない植物なのです。

「忌地」とか「厭地」(どちらも読みは「いやち」)」と言い、要はトマトやナスなどにも起こる連作障害のことで、例えば枯死したからまた同一場所に桜を植えようと思っても、そのままでは健全に育たないんです。

土中の養分の中で、桜に必要な微量元素が欠乏する説や、桜の根が成長を阻害する物質を出すという説などあるようですが、いずれにしても次代の桜には悪影響を与えるというわけです。

元々は多種を寄せ付けないために身につけた性質だそうですが、長い間土中に蓄積され、同種をもしりぞける働きを持つようになったようです。

よって、桜のあった場所にまた桜を植えようとする場合、一定期間他の植物を植えて土壌の回復を図るか、または土を入れ替えたりして土壌改良を行うということになります。

植えりゃいいってもんじゃない
公園の土を掘り出す作業

日本花の会の結城農場では苗木畑を4分割し、一つの区画で苗木を育てたら、その土地には翌年別な植物を植え(結城農場ではからし菜でした)、別の区画で苗木を育て…と、一度苗木を育てた土地は3年の間をとって土壌の回復を図っています。

植えりゃいいってもんじゃない
土の入れ替え作業

我々も以前磯部桜川公園に、東京の小金井市や国分寺市を中心に活動されている日本花の会多摩支部の皆さんが記念植樹された際には、大がかりな土の入れ替え作業を行いました。

植えりゃいいってもんじゃない
これだけの範囲でも相当な量の土が必要です

その後もカイガラムシの駆除や逆枝(内側に育っていく枝)の剪定などを行ったおかげか、現在は見事な花を咲かせるまでになりました。

植えりゃいいってもんじゃない
カイガラムシの除去作業(歯ブラシで掻き落とすのです)

とはいえ公園全体を見渡せば、毎年枯死する桜が増えています。

ヤマザクラに関しては、間引く必要こそあれ、植樹を必要としている場所はほとんどありませんが、肥料ももらえず痩せた土地の上、更に連作障害と、まず植樹など考えられない環境にあるのは間違いありません。

「枯れたら植えればいい」というような簡単な話ではないんですね。

そう考えると、今ある桜を大事に育てることが、何よりも手間を掛けないことになるわけです。

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