「桜川のサクラ」復活のために…

さて、昨日書いた磯部桜川公園の山桜復活の大きな課題ですが…

↑の写真を見ていただければ一目瞭然、「過密な植栽」なのです。
名勝に指定されている地域は、現在市道になっている神社の参道と、これに隣接した元は「馬場」だった部分なんですが、この馬場だった部分はくぼ地になっているんです。

なので、南側は日陰になりやすく、北側の方が陽が当たるような地形になっています。

言い換えると、北側の桜は生育条件が良く、南側はかなり厳しい条件に置かれているということになります。

実際北側の桜に樹勢の良いものが多く、逆に南側は年数の割には樹が育っていません。

「桜川のサクラ」復活のために…
比較的生育の良い北側の山桜

植物、特に樹木というのは、自身の成長のために他の樹木と光を奪い合っているわけでして、光を受けられない樹は淘汰されてしまいます。

北側では実際にこれが起こっていまして、大きく生長した桜の陰で何本もの桜が枯死していきました。

しかし、南側はまさに「共倒れ」状態になっていまして、どれ一つとして大きく育っている樹がありません。

元々光が不足している上に密植されているので、“抜きんでる”桜がないのです。

「桜川のサクラ」復活のために…
名勝指定地南側の山桜の状態

↑の写真を見てもらうとわかるように、キレイに一列に並んで植栽されていますが、この間隔を見ても、植栽時は、ある程度育ってきたら“間引く”つもりで植えたのでしょう。

中には根付かないものだとか、育つ過程で淘汰されることも考えていたと思います。

しかし、残念ながら結果としてはいずれも育ちが悪いまま、過密状態を保っているという状況なのです。

日当たりの悪いところだからこそ、1本1本の桜に空間を与えなければならないのに、これでは更に条件を悪くしているだけです。

というわけで、7年前にも「思い切って間引けば復活する」と指導を受けていたのですが、これがなかなかハードルが高くて出来ずにいます。

まずなんといっても、ここは国の名勝指定地ですから、おいそれと手を出すことが出来ないということ。

次に、もし伐採が可能だとしても、樹勢だけで残す樹と切る樹を決めるわけにはいかないということ。

ソメイヨシノなら樹勢だけで決められるんですが、桜川のサクラは何度も書いてきているように、100本あれば100本の個性(変異)があるので、やはり“良い桜”を残したいということになるからです。

そのために毎年花の時期に早朝観察をしてきたわけですが、これがあまり知りすぎると残したいものが多くなってしまって、また切れなくなってしまうんですね。

ただ、ここまで来ると悠長なことは言っていられないということで、今回市の関係部署の方に参加いただき、田中先生からご指導をいただいたというわけです。

間伐については、もう少し時間が必要ですが、『楽しかったなぁ…公園の樹勢観察会』で書きましたように、ある程度の計画は出来ましたので、あとは関係各課と調整しながら、いよいよ本格始動したいと思っています。

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