2013年11月21日

『人に強くなる極意』

『人に強くなる極意』

どうにも読みたい本が見つからず、新書の新刊コーナーから選んだ一冊。

著者の佐藤優氏は、鈴木宗男事件にからみ有罪判決を受け失職した元外務官僚。
2005年に事件について書いた『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』が大きな反響を呼び、その後は作家や評論家として活躍しています。

月平均300冊、多い時は500冊を読むという読書量から、最近は“知の巨人”などとも呼ばれており、著書多数、雑誌の連載も十数本持つ、現在最も人気の高い作家の一人と意って良いでしょう。

さて、そんな超有名な佐藤優氏ですが、私は氏の著書を初めて読みました。

『読書の技法』など、読んでみたいと思うものもありましたが、やはり得意分野である外交関係などの書籍が多いので、私にはあまり縁がない方だったのです。

今回私が読んだ『人に強くなる極意』は、雑誌『BIG tomorrow』の連載を書籍化したものです。

BIG tomorrowの出版元である青春出版社のサイトを見ると、『人に強くなる極意』は、「注目の一冊」として取り上げられており、本人も「究極の実用書です。この本を読むと得をします。」と自信満々に書いています。

さて、そんな“得をする実用書の”読後感ですが…

元が雑誌の連載からか、ハウツー本としては非常に読みやすい本でした。

内容的には、これから社会人になる、または社会人になって日の浅い若者向けといった印象です。

既にビジネスの世界で長年生きている人にとっては既知のことも多く、さほど真新しく感じる内容ではありませんでした。

しかし、そんなハウツー部分よりも私が気になってしまったのは、ことあるごとに出てくる自身の鈴木宗男事件のこと。

拘留生活でいかに信念を貫いたかや、「オレは何も悪いことはしていない」を繰り返されると、「どうだ、オレはこんなにスゲー男なんだぜ!!」みたいな嫌みが感じられてきて、途中からはハウツー部分が素直に受け入れられなくなってしまいました。

TPPの断じ方や、竹中平蔵崇拝のようなところにも、なんとなく思想的な偏りが感じられて、ますます受け入れ難くなってしまった感じです。

結局、読み終えてみれば本題のハウツー部分はほとんど覚えておらず、よって「得した」と思えることもなく、もちろん「極意」を身につけることもできませんでした。

一般の方達の書評などを見ると、特に若い人たちからはカリスマ的な扱いを受けていて、総じて高い評価のようですが、私のような“凡人以下”の人間には、ちょっとレベルが高すぎたのかもしれません^^;

というわけで、高級官僚の世界で身につけた「人に強くなる極意」は、レベルの高い社会人を目指す方向けのもののようです。

『人に強くなる極意』


『人に強くなる極意』

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