NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?
(画像:NASA)

NASA(アメリカ航空宇宙局)が一昨日、ロサンゼルスにあるエイムズ流体力学研究所で行われた、W杯ブラジル大会の公式球「Brazuca(ブラズーカ)」の風洞実験の様子を公開しました。

ブラジル大会で使われるボールが、どのような特性を持ったものなのかを調べたものですが、これが結構日本代表の戦術にも影響しそうだというのです。


W杯で使われるボールは、第1回からadidasが提供していますが、ここに来てこのボールが大きく進化しています。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?

サッカーボールというと、あの6角形と5角形を組み合わせたものを想像しますが、2006年のドイツW杯で使われた「チームガイスト+」と名付けられたボールはかなり変わったデザインでした。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?
左:日韓大会公式球「フィーバーノヴァ」 右:ドイツ大会公式球「チームガイスト+」

わが日本が開催地になった2002年の日韓大会までは、伝統的な5角形と6角形の組み合わせによる32枚のパネルで出来たボールが使われていましたが、この「チームガイスト+」は14枚のパネルで構成された「革命的」とも言われるボールでした。

縫合もそれまでは手縫いで行われていましたが、この「チームガイスト+」は熱でプレス接合する「熱圧着」という手法を使い、ムラのないボールに仕上がったと言います。

しかし、その影響か表面がつるつるして雨の日に蹴りづらいなどの不満が出ました。

これを改善すべく開発されたのが、前回南アフリカ大会の「ジャブラニ」で、パネル数は更に減り8枚となりました。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?2010南アフリカW杯公式球「ジャブラニ」

「ジャブラニ」は、表面に接合面と異なる溝を設けて、ブレ球を軽減するとともに、表面に小さな突起を施して滑りにくく改良されました。

しかし、このボールがかなり不評だったんですね。


開発の狙いとは裏腹にブレ球が多く、ボール感覚が既存のボールと大きく異なって扱いにくいと言われ、実際に直接FKで決まったゴールは大会通じて5つしかありませんでした

まさに本田のフリーキック「ぶれ球」には最適なボールだったかもしれません。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?

そして、ここからが本題…今大会の公式球である「ブラズーカ」です。

NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?2014ブラジルW杯公式球「ブラズーカ」

「ブラズーカ」は、「ジャブラニ」よりも更にパネルの数を減らした6枚で構成されています。

不評だった「ジャブラニ」の欠点を克服すべく開発されたボールですが、NASAの実験でも検証されているように、飛行安定性が増したと言われています。

理由は、「ジャブラニ」が異なる素材、形状のパネルをつなぎ合わせたため、空気の流れが変化しやすく、ブレ球が起こりやすかったのに対し、「ブラズーカ」は、同じ素材、同じ十字状の形をしたパネルを使っているところにあります。

卓球の球とゴルフボールを比較してもらうとわかりますが、ボールというのは表面がツルツルだと空気抵抗が大きすぎて、遠くに飛ばないんですね。

ですから、この縫い目の形状や表面の突起などによって、ボールの抵抗は大きく変わってくるわけです。

そこで、この空気抵抗を「ジャブラニ」と「ブラズーカ」とで比較してみると、低速領域では「ブラズーカ」の方が抵抗が少なく、高速になると「ジャブラニ」の方がやや抵抗が少ないという結果になりました。

この特性をプレイに当てはめると、「ブラズーカ」は軽く蹴っても、遠くへボールを運べるということになり、速いパス回しが得意なチームには有利なボールであると考えられるわけです。

なので、「体が小さい日本選手にとっては、体への負担が少なく、有利なボールと言える」と分析されています。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?

では、フリーキックやコーナーキックに影響する「曲がりやすさ」や「ぶれやすさ」についてはどうでしょう。

科学的な話を書くと長くなるので、ここでは簡単に解説しますが、回転するボールの上と下では空気の流れる速度に違いが生じます。

NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?
(画像:NASA)

速い流れは空気を薄くして圧力が低くなり、結果圧力の高い方から低い方へ力がかかります。

この力を「マグヌス力」と呼ぶのですが、回転する「ブラズーカ」、「ジャブラニ」を比較すると、「ブラズーカ」は、通過したボールが下向きに流れやすく、作用と反作用の関係で、ボールそのものには上向きのマグヌス力が働くそうです。

対して「ジャブラニ」は、ボールの背後の空気の流れは下向きに行くものの、すぐに上向きに転じ、渦を巻いているように乱れると言います。

面倒な解説を避けて、結論だけ言うと「ブラズーカ」は「ジャブラニ」よりも曲がりやすいボールということになります。

どのくらい曲がるのか、山形大の瀬尾和哉教授がわかりやすく図解しています。


NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?
蹴り出し時速:90km/スピン:1秒間に7回転/回転軸:鉛直方向/打ち上げ角:15度でシミュレート

ゴール手前25m地点から蹴り出したカーブ系のフリーキックをシミュレーションしたものですが、左はボールの軌道を上空から見たもの、右はキーパーの目線で見たボールの曲がり具合です。

条件はやや極端に設定していますが、2つのボールの曲がり具合の違いがよくわかると思います。

この特性もプレイに当てはめてみると、日本代表では「無回転」を得意とする本田圭佑のFKよりも、「高速回転」を得意とする遠藤保仁のFKの方が有効だと言えるわけです。

もちろん、本田選手もこの辺についてはわかっていて、この「ブラズーカ」の特性に合わせた「鋭い縦回転でボールを落とす」キックを練習しています。

技術だけでなく、より縦回転を掛けやすいように、甲の部分から爪先の内側にかけて波状の突起が配置されたスパイクも筑波大とともに開発しました。

NASAがW杯の公式ボール「ブラズーカ」を検証…フリーキックは本田よりも遠藤に期待?
本田選手の履く「ウェーブ イグニスタ 3MD」

このスパイクでは、従来のものに比べ回転数が17%増えたと言います。

果たして、本番でこれが生かされるか…やはり、遠藤で行くのか…

いよいよ日本代表の初戦、コートジボアールとの試合が明日午前10時にキックオフとなります。

どうか「ブラズーカ」が日本に味方してくれることを祈りましょう!!

『NASA Turns World Cup into Lesson in Aerodynamics』

『進化するW杯サッカーボール』

『見逃してなるものか!!…ワールドカップ日本代表全試合予定』


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