2012年09月18日

春夜宴桃李園序

春夜宴桃李園序

先日の「引用ノート」に記した漢詩。
杜甫と並んで中国史上最高の存在と言われ、「詩仙」と称された李白のものです。
其(そ)れ天地は万物の逆旅(げきりょ)にして、
光陰は百代の過客(かかく)なり。
而(しこう)して浮生(ふせい)は夢の若(ごと)し、
歓を為すこと幾何(いくばく)ぞ。
古人燭(しょく)を秉(と)りて夜に遊ぶ、
良(まこと)に以(ゆえ)有るなり。
況(いわん)や陽春我を召(まね)くに、煙景を以(もっ)てし、
大塊(たいかい)我に仮(か)すに文章を以てするをや。

が読みで、意味としては「天地とは万物が泊まる旅館であり、時間とは様々な時代を過ぎていく旅人であって、人生は夢のように短い。酒杯をとばして月に酔う良夜、われわれははかない存在ではあるが、天地より詩文を作る才をさずかって生れた、されば、大いに佳作をものして楽しもう」といったところ。

詩の中身そのものよりも、美文調の美しい文体が素晴らしくて、特に始めの2行はしびれますね。
ほんと、これは朗誦したくなる詩です。

何となく聞いたことがあるかな?という方は、松尾芭蕉「奥の細道」の冒頭「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也」で覚えているのではないでしょうか?
芭蕉はこの李白の詩を踏まえて歌ったと言われています。

さて、この詩を取り上げたのには2つの理由があります。

1つめは、昨日の「宇宙のはなし」を書いていて、途方もない時間の流れを感じたことです。

地球が誕生したのが46億年前、生命は約38億年前に誕生したと言われます。
その後、何度かの大量絶滅を経ながらも進化を続け、やっと700万年前に我々人類が誕生しました。

宇宙の誕生が137億年前ということを考えると、地球の誕生までに途方もない時間が掛かり、人類が誕生するまでに更に途方もない時間を要したことになります。

そんな非日常の時間の流れを考える時、自分が生きている時間など、瞬きひとつにも満たないまさに夢のような短さであって、冒頭の4行に共感してしまったというわけです。

2つめは、文語文へのリスペクトです。

先日読んだ阿川弘之氏『大人の見識』にあったのですが、論語に代表される儒教の価値は、ひとつには「日本の国語から文語体が消えてしまうのを防ぐ」という意味があるということでした。

江戸時代の時代劇などにも、子供達が寺子屋で論語の素読をしている映像がたまに出ますが、文語と共にこうした朗誦文化も廃れてしまったんですね。

文語文は平安時代から千年掛けて洗練されてきた日本語でしたが、「東洋を捨てて、西洋を習った」明治時代に終焉を迎えます。

正直、自分は生まれてこの方口語文で育ってきたわけで、身体に染みついた日本語は、やはり口語体です。

それでも、日本人としてのDNAを引き継いでいるからでしょうか、この歳になって文語文の美しさが、なんとなくわかってきたような気がするのです。

この辺りは、山桜の魅力を知ることと似ているのかもしれません。

それと、これまた先日書きましたが、斎藤孝氏より教えられた「音読の大切さ」です。
これを実践したいというのも、文語文に対する理解に繋がっているように思います。

文語体で文章を書くなんてことは、外国語同然でとても出来る気がしませんが、先達の残した美しい文章を暗唱することくらいはなんとか出来そうな気がします。

というわけで、しばし、そうした先哲の精神(文化・伝統)を、ひとつでも多く身体に刻み込めるように、朗誦に励んでみたいと思っている今日この頃です。

って、あれ?締めがこの前の記事とかぶったな^^;

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この記事へのコメント
文語文の美しさが解かるって素晴らしいですね。私にはちょっと難しい・・・(笑)
Posted by Hi-Ko at 2012年09月19日 11:50
>>HI-KOさん

後でレクチャーします^^;
Posted by ug at 2012年09月20日 09:38
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