2013年05月18日
ソメイヨシノには実がならないと言われるけれど…

今朝、県庁近くのソメイヨシノ並木で、真っ赤になった実を発見。
だから?と言われそうですが、一般的にソメイヨシノには実がならないと言われているんです。

ほとんど実が付いていないことがわかります(県庁周辺のソメイヨシノ)
詳しく解説すると長くなるので避けますが、桜は「自家不和合性」と言って、同じ個体では受粉しても受精に至らなかったり、あるいは正常な種子の形成には至らないのです。
ここでも何度か書いてきましたが、ソメイヨシノはクローンなので、何十本、何百本あろうとも、それは同一個体での受粉と言うことになります。
今朝の県庁周辺のように、ソメイヨシノは単独で群植されるので、必然的に自種同士の受粉になり、よって結実することはほとんどないというわけです。
しかし、実際は実のなっているソメイヨシノを結構見かけます。
ただし、上記の通りまずこの種から新たな桜が生まれることはありません。
これを「不稔」と言うんですが、「無精卵」みたいなものと考えていただければ良いでしょう。
対する磯部桜川公園の山桜は、500本あるすべて「山桜」ではありますが、クローンではない種から育ったもの(実生)なので、自然のままに他の個体との受粉が行われています。
一昨日公園を訪れた時の写真が↓ですが、こうした受粉を経て見事に実がなっていました。

受粉によって出来た山桜の実(5/16磯部桜川公園)
この実を鳥などが食べて、果肉の取り除かれた「種」が糞として落ちると、そこから新たな桜が生まれてくるのです。
こうした実生で育った桜は、どれひとつとして同じものがありません。
「磯部の百色桜」と言われるのは、すべて実生で育った山桜だからなのです。
「同じものを作るために」人為的に増やされてきたソメイヨシノと違い、実生の山桜には「どんな桜が生まれるかわからない」という醍醐味があります。
「世界にひとつだけの花」の世界がそこにあるのです。
Posted by ug at 21:50│Comments(0)│サクラぐるひ
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