2008年09月22日

『ビタミンF』

『ビタミンF』

先日、重松清氏の直木賞受賞作である『ビタミンF』
を読み終えた。

『ビタミンF』は七編からなる短編集である。

得意の短編連作ではないが、七つの“お話”には
明確に共通するものがある。
まず、主人公が皆、小中学生の子どもを持つ30代
後半の父親であるということ。

そして、それぞれが現代社会にありがちな問題を
抱えているということだ。

非行に走る中学生を注意できない、オヤジ狩りに
怯えるサラリーマン、イジメに遭ったり、非行に走りそう
な子どもを抱える父、特別な問題があるわけでも
ないのに離れていく妻との関係、上京して平和な
家庭を築いたものの、故郷に残した肉親に悩みを
抱える息子.....

重松氏がテーマとする現代の社会問題を、いつもな
がらの表現で、丁寧に心理描写しているのだが、
どうも自分にはイマイチ響いてこない。

『きよしこ』のような深さがあるわけでも、『流星ワ
ゴン』や『君のともだち』のようなストーリー性があるわ
けでもなく…

それぞれのストーリーには、お得意の主人公が前向
きに変わるエンディングが用意されているのだが、こ
れがなんとも中途半端というか、漠然としすぎてし
まって、こちらにまで伝わってこない。

実はこの『ビタミンF』は、直木賞受賞作ということも
あって期待していたし、だからこそ他の作品を読
み終えた一番最後にしようと思っていたのだ。

しかし、どうにも気になってしまって、つい読んでし
まった。

で、かなりがっかりしてしまった。残念。

てことで、ちょっと重松清作品に飽きた感じがなき
にしもあらずなので、この辺で息抜きの意味も込
め、他の作家の作品も読んでみようかと思う今日
この頃なのだ。

誰かお奨めプリーズ。

『ビタミンF』

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この記事へのコメント
「ロッキン ホース バレリーナ」オススメします
Posted by baku at 2008年09月23日 17:25
>>baku

あ、言ってた大槻ケンヂのヤツね。

実は「サウスバウンド」ってヤツを読み始めてしまった。
Posted by 代表ug代表ug at 2008年09月24日 17:45
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