2012年10月03日
『座右の山本夏彦』

「正直者は馬鹿をみるという言葉がきらいである。ほとんど憎んでいる」
「人前で立派なことを言う人なら、たいていうそつきである」
「教育の普及は、浮薄の普及」
「相田みつをの「にんげんだもの」を見ると私はぞっとする」
「わが国の悪口を言っている教科書なら、それは悪いに決まっている」
「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」…..etc.
「人間というものはいやなものだなぁ」-------そう思いつつ死の間際までペンを握り続けた当代随一の毒舌翁。
似非正義を嗤い、今人の独創を戒め、古人の言に倣った賢人の金言の数々を一冊に。
『座右の山本夏彦』表紙解説
漢詩や文語文に触れるようになって、山本夏彦氏を知った。
そもそもは『完本文語文』が、いつもの「○○が読むべき○冊」本に載っていたからなのだが、堅苦しい文語文の解説本かと思いきや、どうも違うようなのである。
いや、書籍のはなしではなく、著者のこと。
調べてみると顔だけはテレビで拝見した記憶があるが、どんな方かはまったく存じ上げなかった。
(残念ながら2002年に87歳で亡くなられている。)
『完本文語文』を読めばわかるかとも思ったが、できるだけ氏のエッセンスが知りたいと思い、調べていたら『座右の山本夏彦』に出会った。
氏に心酔する嶋中労氏によって書かれた、言ってみれば「山本夏彦入門書」
とはいうものの、レビューなどを見ると、ここに山本夏彦氏のエッセンスはすべて詰まっているという。
体裁としては、氏の残した代表的な言葉を見開き2ページで一言ずつ、その出典と嶋中氏の解説で綴られるというもの。
解説がないとイマイチ伝わらないかもしれないが、冒頭の刺激的な言葉は、そんな山本氏の代表的な名言のごく一部である。
痛快至極、私は一発で山本夏彦氏のファンになった。
最近の軽佻浮薄な大衆迎合的似非批評家のニヒリズムと違い、氏自身が「老荘の徒」と称するように、その言葉には四書や孔孟老荘を根底とした確かな思想の立脚点がある。
それよりも何よりも、やはり一番の魅力は嶋中氏も言うように、“稀代の文章家”の彫琢を懲らした達意な文章である。
亡くなってから出会ったことは悔やまれるが、氏自身が生きている人と死んだ人を区別しなかったように、私もこれから山本夏彦を「尚友」として、人間の賢愚深浅を学んでみたいと思う。

既に『完本文語文』の前にと『誰か戦前を知らないか~夏彦迷惑問答』を読書中
※山本夏彦氏について知りたい方はこの辺がおすすめ。
そもそもは『完本文語文』が、いつもの「○○が読むべき○冊」本に載っていたからなのだが、堅苦しい文語文の解説本かと思いきや、どうも違うようなのである。
いや、書籍のはなしではなく、著者のこと。
調べてみると顔だけはテレビで拝見した記憶があるが、どんな方かはまったく存じ上げなかった。
(残念ながら2002年に87歳で亡くなられている。)
『完本文語文』を読めばわかるかとも思ったが、できるだけ氏のエッセンスが知りたいと思い、調べていたら『座右の山本夏彦』に出会った。
氏に心酔する嶋中労氏によって書かれた、言ってみれば「山本夏彦入門書」
とはいうものの、レビューなどを見ると、ここに山本夏彦氏のエッセンスはすべて詰まっているという。
体裁としては、氏の残した代表的な言葉を見開き2ページで一言ずつ、その出典と嶋中氏の解説で綴られるというもの。
解説がないとイマイチ伝わらないかもしれないが、冒頭の刺激的な言葉は、そんな山本氏の代表的な名言のごく一部である。
痛快至極、私は一発で山本夏彦氏のファンになった。
最近の軽佻浮薄な大衆迎合的似非批評家のニヒリズムと違い、氏自身が「老荘の徒」と称するように、その言葉には四書や孔孟老荘を根底とした確かな思想の立脚点がある。
それよりも何よりも、やはり一番の魅力は嶋中氏も言うように、“稀代の文章家”の彫琢を懲らした達意な文章である。
亡くなってから出会ったことは悔やまれるが、氏自身が生きている人と死んだ人を区別しなかったように、私もこれから山本夏彦を「尚友」として、人間の賢愚深浅を学んでみたいと思う。

既に『完本文語文』の前にと『誰か戦前を知らないか~夏彦迷惑問答』を読書中
※山本夏彦氏について知りたい方はこの辺がおすすめ。
Posted by ug at 19:30│Comments(0)│ほんのはなし
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